かもんかか物語

かもんかか物語

かもんかか物語について

母と「かもんかか物語」 亡くなった主人の母が手書きで写本した「掃部狼婦物語」の原稿です。 元々は口伝の物語だったそうですが、それを書き起こしたものが何冊かあり、母はそのうちの一つを進美寺の前法印さん...
かもんかか物語

かもんかか物語(下巻)

沢右衛門、牧女悪事をたくらみ助次郎を殺す事 さても沢右衛門は牧女との密通を助次郎に悟られし事を当惑し、万一掃部に漏れなばたちまち身の大事とならん、もはや助次郎を失はんより外に思案なしと種々に心をくだけども、すべき様なければ、ひそかに...
かもんかか物語

かもんかか物語(中巻)

掃部重代の太刀紛失の事 それ、人界にして過去善悪の果報を感じ六通に輪廻する有様、たとえば車の廻るが如しと言へり。 今綾女の如きは貞心にしてよく家を治め情深くして人を憐み、心直にして神仏へ信仰もまた切なりしに、前生の因縁にや愛児...
かもんかか物語

かもんかか物語(上巻)

序 それ光陰の移り行くこと、流水の如く、終れる期をしる者なしといへども、人命、限りありて百歳の齢、世に稀なり。 六十路の夢、長しと思へとも、日を以て数ふれば二万二千日に足らず。生涯の間、貴賎貧福の楽みも盧生が一睡の夢に等し。只...